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自分のキャリアをデザインする

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VETS CAREER関連記事

VETS CAREERの関連記事として、獣医師のキャリアや雇用、組織開発など「人材」をテーマに不定期で記事配信をしてまいります!今回、獣医師でありキャリアコンサルタントでもある岡野 顕子先生に獣医師のキャリアデザインについてご執筆いただきました。ぜひご覧ください。

みなさん、こんにちは。
獣医師、キャリアコンサルタントの岡野です。

わずか半年の程の間に世界を震撼させたCOVID-19は、経済活動や社会活動を一気に停滞させました。最近では、GO TO トラベルなど経済活動が再開されましたが、まだまだ感染終息の兆しはみえていないのが現状です。

私たちはWITHコロナの生活を余儀なくされていますが、日本にとって必ずしもマイナスのことばかりでもないと考えています。外出制限や自粛が続く中、自分の時間を多く持つことができたのは、むしろ好機と考えられるのではないでしょうか?

獣医業界でもオンライン化が進んだことで、多くのセミナーや学会を自宅で聴講できるようになり、多くの学びとと共に、移動時間がなく有効に時間を使えていると思います。
事実、私も以前より多くのセミナーや研修に参加しています。

コロナSHOCKは経済的な側面よりも、日本人の価値観や働き方を大きく変え、心の豊かさと幸せな生き方を考える機会を与えてくれたのではないかと思うのです。

前回は、アフターコロナのキャリアとして、プロティアンキャリアについてお話しさせていただきましたが、今回はキャリアをデザインするというテーマで、獣医師・キャリアコンサルタントの視点から動物病院におけるキャリアにつて考えてみたいと思います。

キャリアをデザインする必要とは

多様化する現代において、社会や組織(会社)は常に変化しています。獣医業界では、2022年に愛玩動物看護師法が施行され、現在一般的に動物看護師と言われている人たちの職域が設けられることになります。

動物看護師の職域が設けられることにより、動物病院内での動物看護師業務の見直し、また獣医師の職務内容も現状より少し変わる可能性もあります。

そのような現代は、自分のキャリアを組織(みなさんの場合は動物病院)任せにするのではなく、自身がどのようなキャリアを歩みたいのかを自分自身に問い続けていく必要があります。また、組織(動物病院側)にとっても自律的にキャリアを考える獣医師やスタッフの育成は重要な課題です。様々な研修を各動物病院でも実施されていると思いますが、まず獣医師、スタッフが“”自分のキャリアは自分で作るのだ“と言う意識を持ってこそ、機能が発揮されるのです。

また、個々のキャリアをデザインすることは、キャリアを正しくメンテナンスすることでもあります。

組織で働き続けていると、「なんとなく、モチベーションがあがらない」「上司と相性が悪い」といった仕事内容の不満や、「もっとスキルアップがしたい」「家庭の時間を持ちたい」「体力的に不安」などなど、将来への希望や不安に対するキャリアにまつわる決断のタイミングが多く訪れることもあります。

しかし、そのまま漠然と仕事を行い、不満を整理しないまま転職などを行うと、また同じことの繰り返しになることも少なくありません。キャリアアップや、環境を変えるために行ったつもりの転職が、数年後には同じ悩みを抱えることになるのです。

そのような転職は、結局個人のキャリア形成にはならないため,一度自身のキャリアを見直す機会、キャリアをデザインするのです。そして、キャリアデザインを行う上では、自己理解を行うことがとても大切です。自己理解を通じて、キャリアをもう一度見つめ直しましょう。

キャリアデザインをするためには


キャリアには、仕事を通して成長する「ジョブ(職業)キャリア」と仕事を含めた人生をトータルで考える「ライフキャリア」が存在します。

またジョブキャリアにも職歴や経歴といった外から見える「外的キャリア」と自分の内面や仕事観など本人がどう考えるかも問う「内的キャリア」が存在します。そして、それらはお互いが影響しあい発展させている側面があります。そこで、今回は内的キャリアにフォーカスして考えたいと思います。

外的キャリア
(客観的キャリア)
内的キャリア
(主観的キャリア)
■客観的な職業経歴
■収入、地位、実際の職経歴
■キャリアに対する自分なりの意味づけ
■自分の仕事経験や役割に対してどのように意味づけや価値を見出すか
外的キャリアだけでなく内的キャリアも踏まえ、自分なりの働く意味を考えておくことによって、自分自身のキャリアをデザインしていくことができる
内的キャリアを形成するためには、自己理解や自己分析を行うことをお勧めします。

今までの経験から自分を正しく理解し、強みをより高めていくと同時に弱みを克服していくことが大切です。

自己理解・自己分析の方法

キャリア形成における自己理解や自己分析には、キャリアンカー、SWOT、自己の多面的理解などの方法があります。ここでは、キャリアデザインを行う方法(手順)について説明したいと思います。

1.自己理解を行う
自身の特性や専門性を知るために、自己診断を行いましょう。「キャリアアンカー」や「エニグラム」などの自己診断ツールを使うと、より客観的に分析することができます。
2.キャリアスキルを整理する
自身の現状や課題を知るために、仕事で培った経験やスキルを整理します。自己診断とキャリア・スキルの整理は、課題・改善点を考えるために重要な項目です。新卒入社後から現時点までのキャリア、資格や実績など、できる限り多く洗い出しましょう。
3.自己分析の目的を整理する
「自分がなぜ自己分析をしたいのか」を整理します。「仕事の目標を明確にしたい」「転職を成功させるために自己理解を深めたい」など、自己分析を行う理由は人それぞれです。職場環境や自身の感情の変化を振り返り、自身が自己分析で解消したい疑問を整理しましょう。
4.課題・改善点を考える
1の自己診断で得た結果と2で整理されたキャリア・スキルから具体的な課題を考えましょう。今回は、課題・改善点を見つける方法として、「キャリアの3つの輪」「SWOT分析」が有効です。
5.行動指針を立てる
1〜4までの自己分析で得た結果を元に、転職やスキル取得をはじめ課題・改善点を解決するために必要な行動指針を組み立てていくといいでしょう。
自己理解の第一歩、キャリアアンカーとは?


「キャリア・アンカー」とは、マサチューセッツ工科大学ビジネススクールの組織心理学者のエドガー・H.シャイン教授が提唱しているキャリア形成の概念です。キャリアにおけるアンカー(錨=不動点)を指しています。

個人が自らのキャリアを形成する際に最も大切で、他に譲ることのできない価値観や欲求のこと、また、周囲が変化しても、自己の内面で不動なもののことをいいます。
キャリアアンカーは一度形成されると周囲の環境や年齢が変化しても代わりにくいと言われており、生涯にわたってその人のキャリアを決定づける重要なファクターだとされています。

キャリア形成が確立するのは30歳前後と言われていますが、シャイン氏が提唱する8つのアンカーはキャリアが形成された後は、その後の経験や結婚や出産などの環境の変化があっても生涯にわたって根幹は大きく揺らがないといわれています。(そのため、学生や新卒などキャリア形成がまだできていない人材に当てはめる事は適切ではありません。)

また、一般的な自己分析にある「何が好き」「何が得意」「何がしたい」というような表面的な分析法とは異なり、生涯に渡るキャリアの核となるような「どのように働きたいか」という点を分析する手法がキャリアアンカーです。

シャイン氏は、犠牲にすることができない3つの要素(コンピタンス、動機、価値観)を、8種類のカテゴリーに分類しました。どのような職種についても基本的に該当し、ほとんどの社会人は8カテゴリーのいずれかにあてはまります。

「What?」ではなく「How?」を問い、築き上げてきた価値観の中から中長期的なキャリア形成に重きを置きます。

キャリアンカーの8つのカテゴリー

1.専門・職能別コンピタンス;特定の分野で能力を発揮し、自分の専門性や技術が高まることに幸せを感じる
2.全般管理コンピタンス;集団を統率し、権限を行使して、組織の中で、責任のある役割を担うことに幸せを感じる
3.自律・独立;組織のルールや規則に縛られず、自分のやり方で仕事を進めていくことを望む
4.保障・安定;一つの組織に忠誠を尽くし、社会的快適、経済的な安定を得ることを望む
5.起業家的創造性;リスクを恐れず、クリエイティブに新しいことを作り出すことを望む
6.奉仕・社会貢献;社会的に意義のあることを成し遂げる機会を求める
7.純粋な挑戦;困難な問題の解決やライバルといの競争にやりがいを感じ、次々に挑戦を追い求める
8.生活様式;個人的な欲求と家族・仕事とのバランスを調整することに力を入れる
どのタイプが良い・悪いではない

キャリアアンカーは、あくまでの人それぞれの価値観を分類したもので、「○○だから悪い」というものではありません。また、動物病院にとっても、病院がもとめる人材が、何に重きを置いて働いているのかを知ることは、適切な人員配置など動物病院にとっても組織を発展させていく上での成功要因につながると言えます。

まとめ

現代では労働環境が目まぐるしく変化しています。歳を重ねるごとに価値観や経験・スキルも変化します。適正なタイミングでキャリアデザインを行うことで、生涯のキャリアに対して納得感のある決断ができるようになるのです。
また、キャリアンカーなどは、簡単に自己診断できるツールもありますので、興味のある方は、自身のキャリアデザインの一歩として、行われてみてはどうでしょうか?
 
自分の価値観や欲求がどこにあるのか理解し、自分のキャリアをデザインしてみましょう。

Veterinary Career Lab SMILE 代表
獣医師、キャリアコンサルタント
著者のプロフィール

日本大学獣医学科卒業後、20年近く小動物臨床に従事し、また10年以上管理職を経験。
現在は、獣医師そしてキャリアコンサルタントの視点から、働くスタッフと経営者の相談に乗りながら動物病院専門のトータルアドバイザーとして動物病院をサポート。
管理職や20年近くに及ぶ現場での一般臨床の経験や知識を基に、働くスタッフが笑顔であり続ける環境を目指し、奮闘中。

経歴・職歴

近江兄弟社高等学校卒業
2001年 日本大学農獣医学部獣医学科卒業
2001年 国家資格 獣医師免許取得
2001-2019年 動物病院(京都市)勤務 在職中は副院長・院長・事務局長
2019年 Veterinary Career Lab SMILE設立
2019年 国家資格 キャリアコンサルタント取得
比較眼科学会 臨床生涯教育プログラムセミナー 修了
Improve International General Practitionar Certificate Programme in Small Animal Surgery 修了
国際TA協会 TA101修了

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