VETS TECH

CKDの総合的管理の一環として、エルーラを長期投与しQoL維持に貢献した1例

松原動物病院
米国獣医内科学専門医(小動物内科)
アジア獣医内科学設立専門医(内科)

体重減少や筋肉量の低下は CKD (慢性腎臓病) の長期管理においても、重要な課題のひとつです。
ご自身の愛猫桜ちゃんへ、エルーラを 12 ヵ月以上継続投与されている佐藤佳苗先生に、治療経過および臨床的観点からの考察についてご紹介いただきました。

症例プロフィール

CKD 治療管理中に、4 ヵ月間で約 16% の体重減少、筋肉量の低下が認められました。

治療方針

緩徐だが進行性の食欲減退を認め、それに伴う顕著な体重減少と筋肉量低下に対し、
CKD の総合管理にエルーラを追加しました。

CKD の長期管理では、CKD により生じる様々な症状への対策はもちろん、QOL 維持も含めた総合的な管理を行うことが重要です。

桜に対するCKDの総合管理

エルーラを選択した理由

☑エルーラの作用機序の特徴である筋肉量の増加を期待したため。
☑過去にミルタザピンを使用した際、
副作用 (咆哮 ・ 興奮) により同居猫と喧嘩をするようになり、継続困難であったため。

治療経過

エルーラを継続投与した結果、​体重は増加に転じ、​2.95kgから2ヵ月後で3.04kgへ約3%、
9ヵ月後で最大3.32kgへ約13%増加しました。

また12ヵ月後でも3.15kgと​約7%増加した状態を維持し、MCS は中等度低下*から軽度低下**へ改善しました。​​

その他の変化

Cre 値は高値であるものの、同程度の数値を示す CKD の猫と比較して、
活動性もあり体格も良好に維持できています。

考察 ・ エルーラ活用のポイント

①早期の段階からの治療介入
CKD をはじめとする慢性疾患は進行が緩やかである分、治療介入が遅れてしまうケースもあります。また、筋肉量低下は食器や水の器まで向かう体力が落ちることで、摂食量の低下に繋がると感じました。筋肉量が著しく減少し、食欲廃絶に至ってからでは、治療を始めても十分な改善を得ることが難しくなります。慢性疾患に 「負けてから」 ではなく 「負けない」 ように、早い段階から治療を検討していく意識が大切だと感じています。
②継続することの重要性
筋肉量の増加は、筋トレと同様に長期戦です。エルーラの投与を開始して 「数日で効果が見られない」 「投与直後の反応が少し嫌そう」 というだけで投薬を諦めてしまうのはもったいないと感じています。短期的な反応だけで判断せず、毎日継続して使用することで、体重や筋肉量の維持 ・ 改善が期待できると考えています。
③CKD の総合的管理とエルーラ
CKD は総合的に管理していくことが重要であり、CKD に伴って生じる様々な症状もあわせて対応することで、エルーラの効果もより実感しやすくなると考えます。実際に桜の場合、エルーラがなければ 1 年もの長きに渡りここまで良い体格と QOLを維持することは難しかったと実感しており、総合管理における重要な選択肢のひとつだと思います。

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