記事の最後に呼吸様式から異常部位を特定するためのポイントをまとめております。ぜひご覧ください!
小動物呼吸器疾患研究グループ:SARS
人気シリーズ「呼吸から読み解く!異常部位はどこ?」第2弾です!出題、解説はAMC末松どうぶつ病院 副院長でありSARSのメンバーでもある末松 正弘先生です。奥が深い呼吸様式、観察眼を身につけるためにも是非やってみてください!
症例のプロフィール
犬種:ポメラニアン
性別:避妊雌
年齢:12歳
主訴
数ヶ月続く咳嗽、エンロフロキサシン、プレドニゾロン、ダンプロン、テオフィリン、マロピタントを投与するも改善なく紹介来院、オーナーは喫煙者
呼吸様式 咳嗽 X線検査 軽度の気管支パターン(吸気)が認められた。 透視検査 気管支の細胞診 診断 気管支虚脱がみられた犬の約8割は感染や炎症の変化を起こさずに咳嗽が生じていたと報告されており、(Johnson, L.R.,(2010): Tracheal collapse and bronchomalacia in dogs: 58 cases (7/2001-1/2008). J. Vet. Intern. Med. 24: 298-305.)、細菌感染や炎症細胞が採取されることはあまり多くはないのかもしれません。
乾性(Dry type)
内視鏡検査
多数の好中球と好酸球が見られ、好中球および好酸球性の炎症が存在することが示唆された。感染性微生物や異物などは認められなかった。
以上の所見から、胸部気管虚脱および気管支虚脱(気管支細胞診で好中球好酸球性気管支炎)と診断した。
慢性気管支炎を持つ、あるいは疑われる動物では、
1.悪化要因の回避
2.体重コントロール
3.気道閉塞と炎症の軽減
4.咳嗽コントロール
5.感染コントロール
の5つが重要と考えております。