VETS TECH論文ニュースの記事内にあるアンケートから、回答者数が多かったものを一部ピックアップして報告いたします。
第9回目のレポートは副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症、HCMへのピモベンダンの使用、プラゾシンの使用についてです。
回答者:VETS TECH会員の獣医師
N数:各グラフ内数値を参照
回答期間:各記事配信日~2021年7月22日
集計時期:2021年7月22日時点
副腎皮質機能亢進症の犬への血圧測定状況について
回答者数は529名。84%の方が副腎皮質機能亢進症の犬で血圧を測定していないと回答されました。論文では副腎皮質機能亢進症の犬の診断時点で約7割の犬が高血圧症を有しており、診断時点で高血圧症がなかった犬の3頭に1頭がその後高血圧症により降圧剤が必要になったと報告されております。今後は副腎皮質機能亢進症の犬に対して血圧をルーチンに測定していく必要があるかもしれません。
甲状腺機能低下症疑いの犬へのTSH刺激試験実施状況について
回答者数は524名。ほとんどの方がTSH刺激試験を実施していないと回答されています。論文では甲状腺機能低下症疑いの犬へのTSH刺激試験の高い陽性的中率(甲状腺機能低下症と診断)、陰性的中率(甲状腺機能低下症を除外)が報告されています。薬価が高いという点はありますが、今後使用が広がっていく可能性はありそうです。TSH刺激試験の歴史的背景や意義について松木直章先生にコメントをいただいております。興味のある方は記事の方をご覧ください。
CHFを呈するHCMの猫へのピモベンダン使用状況について
回答者数は462名。CHFを呈するHCMの猫への使用は非常に増えてきている印象がありますが、実際に約85%の方が使用していると回答されています。流出路狭窄のある場合における使用について議論が分かれておりますが、流出路狭窄があっても使用される方の方が多いようです。最近の研究で流出路狭窄のあるHCM猫でのピモベンダンの安全性が報告されましたが、有効性の観点で流出路狭窄の有無で結果が異なることも報告されております。使用上の注意点などについて平川篤先生にコメントを頂いております。興味のある方は記事の方をご覧ください。
尿道閉塞の猫へのプラゾシン使用状況について
回答者数は477名。よく使用する、たまに使用すると回答された方は約3割でした。最近の研究で再発防止効果が認められないことが報告されているため、使用自体は減っていく可能性はありますが、尿道閉塞に対する内科的治療の選択肢が少ない中、有用な治療薬が報告されることが期待されます。
今回の報告は以上です。今後もアンケート結果を一部ピックアップしてまとめていきたいと思います。
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